エリート外科医の不埒な純愛ラプソディ。
長いこと敵視してきたはずの窪塚と一夜の過ちが元で画像で脅された挙げ句、セフレなんかにされて、大嫌いだったはずなのに。
――どうしてこんなことになってしまったんだろう。
いつしか抱いてしまっていたらしい窪塚への想いに戸惑いを隠せないながらも、なんとか平静を取り繕っているっていうのに、一方の窪塚といえば。
何がそんなに楽しいのか、さっきから子供みたいにはしゃいでいるようにしか見えない。
今だって、展望台から屋内に入ってエスカレーターで移動しているのだから、もう躓く心配なんてないのに。
「もう手はつながなくてもいいんじゃないの?」
「お前なぁ、初デートなんだからこんなもんだろ、普通。それに誰に見られてるかもわかんねーんだし」
「……あっ、そう」
窪塚はいつもの調子で、あー言えばこー言うで、もっともらしいことを言ってくるばかりで、聞く耳などど元より持ち合わせちゃいないかのような振る舞いだ。
「お前、つれないなぁ。初デートなんだからさぁ、もうちょっと可愛くできねーの?」
「さっきから初デート、初デートって、ただの偽装工作でしょうが」
「まぁまぁ、そう怒るなって。表面上のカレカノだってのが周囲にバレても面倒なんだしさぁ、どうせなら楽しもうぜ」
やたらと、『初デート』、『初デート』ってバカの一つ覚えみたく連呼してくる始末。