エリート外科医の不埒な純愛ラプソディ。
そんな女子なら誰もがキュンとしそうなセリフを臆面もなくお見舞いしてきた窪塚は、それを有言実行でもするみたいに私の身体をぎゅうっと抱き竦めてきて。
「……なぁ、俺ら、お互い未練たらしく想ってる相手はいても別に付き合ってるわけじゃねーんだし。もうこのまま付き合わないか?」
私の耳元に顔を埋め柔らかな唇と熱い吐息とで鼓膜を擽るようにして、夢にも思わなかった提案を持ちかけてきた。
窪塚のことを好きだと自覚してしまった私にとってはまさに渡りに船。
願ったり叶ったりな提案だけれど、驚きのあまり、まるで現実味が感じられない。
一瞬、何を言われたか分からなくて、一拍遅れで放った私のマヌケな声が湯気が立ちこめる静かなバスルームに木霊する。
「ーーえ?」
ゆっくりと窪塚へと視線ごと顔を向けると、その声を拾った窪塚が私の瞳の奥をじっとを窺うようにして覗き込んでくる。
窪塚の真意を探ろうにも、いつになく無表情を決め込んでいるその表情からは何も読み取れない。
シーンと静まりかえった密室には、互いの息遣いと鼓動、そして時折チャポンという雫がしたたる音とで埋め尽くされてしまっている。
そこに妙な緊張感までが加わって、あたかも時間が止まってしまったかのように動けない。