エリート外科医の不埒な純愛ラプソディ。
とはいっても、素直に言葉では伝えられないところがまた、可愛げのない私らしいといえばそうなのだが……。
それにはある理由があった。
こういう情事になると毎回決まってドSっぷりを遺憾なく発揮する窪塚だけど、切羽詰まって余裕をなくすと、どうやらキス魔でもあるらしい窪塚のほうから、幾度となく熱烈なキスをお見舞いされていたからだ。
だから、こうして視線を送っていれば、窪塚のことだからきっと気づいてくれる。もしくは、キスをしたくなってくれるんじゃなかろうか。
そう思っての言動でもあった。
まぁ、そうしたからって、普通の恋人同士じゃあるまいし、そんなにうまくいかないかもしれないのだけれど。
そんな私の賭けにも似た願いが天にでも通じたのか、はたまた偶然か。
どうやら何かを察してくれたらしい窪塚が匂い立つような色香を孕んだ艶っぽい表情に、一瞬だけ怪訝な色を覗かせた。
通じたのかと安堵しかけた私に向けて、窪塚はなにやら悪巧みでもしているような黒い微笑を口元に微かに浮かべていて。
ーーな、何よ? なんか嫌な予感しかしないんですけど。
途端に尻込み状態になってしまって腰が引けている私の腰をぐっと引き寄せた窪塚はとんでもない提案を持ちかけてくるのだった。
「珍しくお前から誘ってきたと思ったら、今度はキスのおねだりか? だったら雰囲気が出るように、お互い下の名前で呼び合うってのもいいかもしれないなぁ。俺のこと『圭』って呼んだらキスでもなんでも好きなだけしてやるからさ。ほら、呼んでみろよ。鈴」
「////ーーッ!?」
そして最後にトドメとばかりに窪塚から放たれた呼び捨て攻撃に、私の胸はキュンと高鳴り、全身が熱せられ瞬く間に紅く色づいていく。