エリート外科医の不埒な純愛ラプソディ。

 だからって、窪塚のことを好きだと自覚してしまった身としては、軽々しく『圭』なんて呼んじゃったら、うっかり余計なモノまで溢れ出してしまいそうで、どうしても尻込みしてしまうのだ。

 そんな私の心情など知ったことか、とでも言うように、今度はもうひとりの自分の心の声が意識の片隅に割り込んでくる。

 ーーもうちょっと何やってんのよ? さっさと呼んじゃいなさいよッ! 

 さっさと呼ばないと、キスだってしてくれないし。

 もうあと少しでイきそうなところまできてるっていうのに、こんな中途半端なところでお預けなんて。

 ーー冗談じゃわよ、まったくッ!

 確かに、バスルームから寝室に移動してからも、窪塚によって十二分に翻弄され尽くしているのだから、もうそろそろ体力的にも限界だ。

 もうさっさと名前でもなんでも呼び捨てにして、心身共に楽になってしまいたい。
< 172 / 353 >

この作品をシェア

pagetop