エリート外科医の不埒な純愛ラプソディ。
もうひとりの自分にせっつかれたお陰で、ようやく覚悟を決めるに至った私は、ありったけの精神力を掻き集めて、思い切るようにして。
「……わ、分かったわよ。呼べばいいんでしょ? 呼べばッ」
放ったその声は、いつもの私らしい強気なものだった。
けれど本音を言えば、一瞬でも気を抜けば震えだしてしまいそうで気が気じゃなかった。
それなのに、窪塚ときたら、何がそんなに愉しいのか、表情はなんだか嬉しそうで、眼差しもどことなく優しげで。
このまま名前なんか呼び捨てになんかしちゃったら……。
もうそのまま何もかもが溢れちゃいそうで、途端に怖くなる。
かといって、このままでもいられない訳で。
今一度覚悟を決めるためにも一度だけ軽い深呼吸をしてから、ギュッと力任せに目を瞑り、蚊の鳴くようなか細い声ではあるものの、「けい」となんとか紡ぎ出すことができた。
するとその刹那、どういう訳だか、眼前の窪塚から息を呑むような気配がしてすぐ、背後から受け入れた窪塚自身が急に大きく膨張し拍動する感覚がして。
気づいたときには、横向きにされた体勢のままで、背後から強引にのしかかってくるようにして身体に覆い被さってきた窪塚によって、呆気なく、放った声の余韻もろとも唇を数秒足らずで奪われてしまっていた。