エリート外科医の不埒な純愛ラプソディ。

 これ以上、ただのセフレでしかない私のことを惑わせないで欲しい。

 ーーこんな風に優しくされちゃったら、ますます好きになってしまうじゃないか。

それに、『お前に泣かれたら調子が狂うだろ』って、どういう意味よ。

 私が泣いちゃったら、罪悪感を感じてしまうから? それとも、萎えるって言いたいの?

 胸中でよくない考えが次々に浮上してきて、文句の一つでも言ってやりたいのに、窪塚の大きな掌が背中を何度も何度も繰り返し、私のことを宥めるようにして優しく擦ってくれるものだから、毒気が抜けていく。

 もうなにもかもがどうでもよくなってくる。

 よく、惚れた弱み、だとかいうけど、それがこういうことだというのを私が身をもって思い知った瞬間だった。

 そして、窪塚のセフレとして振る舞うということがどんなに辛いことかということも。
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