エリート外科医の不埒な純愛ラプソディ。

「……なによそれ、どういう意味よ。私が泣いちゃダメってこと?」
「否、別に、そういう意味じゃねーよ」
「もーいい。アンタの意見なんて別にどっちでもいいからっ。そんなことより、何よ、ただ性的な涙流しただけでイチイチ謝られても困るんだけどッ」
「……性的な涙って。そんな感じじゃなかっただろう?」

 こっちがこんなにも必死になってなんでもない風を装おうとしてるっていうのに……。

 私のことを抱き込んでいる腕を解いた窪塚は、私の表情から何かを汲み取ろうと、いつになく真剣な眼差しでじっと見据えてくる。

 その顔がこれまで見たこともないような真剣なものだったために、胸がザワザワと騒いでちっとも落ち着かない。

 今にも心の中を見透かされてしまいそうで、背筋に嫌な汗が滲んでくる。

 ーーな、何よ。

 私のことなんかただのセフレとしか思ってないクセに。そんなことでイチイチ突っ込んでこないでよ。

 いつもいつもこっちの意見なんて無視するクセに。そんな些細なことにイチイチ気づいてんじゃないわよ。

 ーーこっちの気も知らないで。
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