エリート外科医の不埒な純愛ラプソディ。

 それもこれも、窪塚の名前を出されてしまうと、どうにも調子を狂わされ冷静さを欠いてしまうせいだ。

 だからって、ここで断らないと非常にまずいような気がする。

 この調子でグイグイこられたら、そのままどんどん予期せぬ方に流されてしまいそうだ。

 否、流されてしまいそうじゃなくて、窪塚の時にそうだったように、きっと流されてしまうに違いない。

 どうにも私はこの手の押しに弱いところがある。

 ーーここはスパンと一刀両断、キッパリと断っておかないと。

 まったく私の意見なんか聞いちゃいない羽田の、一体どこがワンコ系イケメン王子なんだと思ってしまうほどの強引さに圧され気味ではあったものの、なんとかそう心に決めて口を開こうとしたタイミングで。

 どうやら私たち同様に医局に赴いていたらしい上級医である男性医師の、実に脳天気で明るい間延びした声が医局内に響き渡った。

「お疲れ~!」

 ーータイミング悪すぎ。主要キャラでもないのに、邪魔しないで欲しいんだけど。
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