エリート外科医の不埒な純愛ラプソディ。
私の心の声も虚しく、どこまでも脳天気で明るい声は止まらない。
「おー、相変わらず高梨は羽田に塩対応だなぁ。けど、たまには可愛い後輩の頼みのひとつくらい聞いてやれよ。業務を円滑にするためにも、後輩医師とのコミュニケーションをとっておくのも立派な仕事のうちだぞ」
「わぁ。桑原先生ぇ、ありがとうございますッ!」
「……なんだ。桑原《くわばら》先生もいらっしゃったんですね」
挨拶もそこそこに、どういう状況かもわからないクセに、知ったふうな口ぶりで、長たらと先輩風を吹かせてくる桑原先生の言葉と、心強い味方がきたとばかりに笑顔で尻尾をフリフリする羽田とに、殺意にも似た感情がふつふつこみ上げてくる。
私の苛立ちが、声にまでありありと滲み出てしまっていたようだったけれど、そんなの知ったこっちゃない。
「おいおい、なんだってなんだよ。上級医に向かって、そんな言い草はないんじゃないか? そんなんじゃじきに窪塚に愛想尽かされるぞ。そうならないためにも同僚には優しくしないとなぁ」
私のあんまりな物言いに気を悪くしたのか、ここぞとばかりに窪塚のことまで出されてしまった。
そうなると、表向きには恋人同士ではあるものの、実際には不埒な関係でしかないということがバレるんじゃないかという不安と、周囲を騙しているという罪悪感とが相まって、途端にテンパり、残っていた冷静さまで見失ってしまい。
「……ま、まぁ、他の研修医も一緒だっていうし。それなら」
終いにはOKしてしまっていたのだから、もう散々だ。