エリート外科医の不埒な純愛ラプソディ。
「ヤッター! お昼もご一緒しょーー」
「お昼ならコンビニで買ってきてるから」
「それは残念だなぁ」
「ハハッ、まぁ、それ以上は、窪塚に殺されかねないからやめとけよ」
ーー今更そんなこと言ったって遅いんだってばッ! あーもう、最悪。
それに、セフレでしかない私のことで、窪塚がそんな風に嫉妬してくれる訳ないのに。
一体、何を根拠にそんなことを言うのやら。まったく、これだから空気の読めない人は……。
今更ながらに、そんな風に胸の内で盛大な悪態をついたからって、どうにもなりっこない。もう手遅れだ。
兎にも角にも、私は、空気の読めないことで有名な上級医の桑原先生(つい最近バツイチになった理由がよ~く分かった気がする)のはた迷惑でしかない援護射撃によって、羽田と一緒にセミナー会場である大学病院へと向かうことになってしまったのだった。
でも、なんだろう。なにやら嫌な予感しかしないのは気のせいだろうか。
少々ケチがついてしまったものの、それも大学病院に行くまでのたかだか十分ほどのことだし、他の研修医も一緒だって言うし。
ーーそれくらいなら、まぁ、いいか。
桑原先生にお遣いを命じられ、『コーヒー買ってきますねぇ』と言い残し、小躍りでもするような軽やかステップで喜び勇んで医局から出て行く、一八〇センチを余裕で超える長身の窪塚とは違い、一七〇センチそこそこの小柄な羽田の背中を絶対零度の眼差しで冷ややかに見送ってから、気を取り直すようにして、私は今度こそ事務作業へと取りかかった。