エリート外科医の不埒な純愛ラプソディ。

 それからは、車が走り出してしばらく経ってからも、お互いずっと黙ったままで、車内には沈黙が降りたままだった。

 私のテンションが急降下しているからそう思うのかもしれないが、重苦しい雰囲気が立ちこめていて、なんだか息苦しささえ感じてしまう。

 沈黙を破るために何かを話そうにも、窪塚はなんだかさっきからずっと不機嫌そうにしているし。

 徹夜したと言ってたから、きっとそのせいだろうと思うが、そんな時に話しかけられても嫌だろうからと、私も黙ったままでいる。

 とはいえ、窪塚と折角こうして一緒にいられるのだから、ちょっと沈黙が続いてるからって、そんなことイチイチ気にしている時間が勿体ないとも思う。

 近頃スッカリ恋する乙女モードまっしぐらな私はめげることなく、真剣な面持ちで前方を見据えたまま器用にハンドルをさばく窪塚の貴重な運転姿をこっそりと堪能することに徹していた。

 窪塚の今日の出で立ちは、明るい色味のブルーのTシャツに生成りのリネンシャツを合わせたシンプルなものだ。

 初デートの時にも爽やかなブルーのシャツを着ていたし、もしかしたら青い色が好みなのかもしれない。

 そういえば、医大生の頃から、同系色のものをよく着てた気がする。

 そんな些細な気づきでさえも、心がウキウキと弾んでしまう。
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