エリート外科医の不埒な純愛ラプソディ。

 そればかりか、私のシートベルトを解錠させると同時。

「俺も、そうしたいんだけどさぁ。なんか今日のお前、いつもと違うっていうかなんつーか……」

 訳の分からないことを呟くと、何を思ったのか、窪塚はなだれ込むように私の身体に抱きついてきて。

「……あ、ヤバい……」

 そんなことを言ったきり、そのまま力尽きたようにうつ伏せの体勢で私の膝の上にぽすんと崩れ込んでしまった。

 そうして一分もしないうちにスヤスヤと気持ちよさげに穏やかな寝息を立てはじめてしまっている。

 どうやら相当眠かったらしく、とうとう限界を迎えてしまったらしい。

 突然の出来事を前に、唖然としてしまった私は何がなにやら訳が分からず、しばらくの間、ポカンとしたまま動くこともできないでいたのだけれど。

 お腹の辺りにふいにモゾモゾと何かが動くような感触がして視線をやれば、私の腰に抱きつき、お腹に顔を埋めている窪塚の無防備な寝顔が待っていて。

 どうやら無意識に自分の寝心地のいい体勢にするために身動ぎしていたようだった。

 ーーか、可愛い。

 なんだかいつもより幼くて、子供みたいで。もうずーっと見つめていられそうなんだけど。

 そんなことを思ってしまった私の視線は囚われてしまったかのように、窪塚の可愛らしい寝顔に釘づけとなってしまっている。
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