エリート外科医の不埒な純愛ラプソディ。
そんなことをしている間にも刻々と時間は過ぎていて、数十秒ほど経過した今でも、私のことを、相も変わらず寝起きの窪塚が、珍しいものでも見るような眼差しで凝視したままでいる。
そのせいで、私は余計に焦ってしまうのだった。
ーーもう嫌だ。こんなの堪えられない。
当然、考えもまとまらないし、もうなるようになってしまえとばかりに、私は膝上の窪塚に向けて、可愛げの欠片もないいつものツンとした声をお見舞いしてしまっていた。
「ちょっと! 人が親切で言ってんのに、なによその態度は。嫌ならさっさと退きなさいよ! フンッ!」
その上、終いには、盛大にむくれた顔でプイッとあっち向いてホイを決め込んでいて。
なんとかして窪塚のことを振り向かせようと、この日のために、メイクやおしゃれに励んできたというのに、そのすべてが水の泡だ。
ーーこんなはずじゃなかったのに。どうしてこんなことになっちゃうかなぁ。もう、ヤダ。
表向きには、精一杯の虚勢を張って、内心では、目一杯落ち込んでしまっている。
そうして、テンションだだ下がりで。
こんなのはじめっから分かりきっていたことじゃないか。
窪塚は私のことなんて、ただのセフレだとしか思ってないんだから、そんなの仕方ないじゃないか。それなのに……。
こんなことくらいでイチイチ落ち込んじゃったりして。
ーーハハッ、バッカみたい。
終いには、自嘲の笑みまでが込み上げてきて、目頭は熱くなってくるし。
泣いたりしてしまわないようにそれらを抑えるのに必死だったのだ。