エリート外科医の不埒な純愛ラプソディ。

 そんなことなど知らない窪塚は、怒ってしまった私の機嫌でもとろうと思ったのか。

 急に起き上がってくるなり、車窓に視線を固定している私の身体を自身の胸へと引き寄せ、背中から囲い込むようにしてしっかりと抱きすくめてくると。

「今日のお前、なんか雰囲気も柔らかくて、優しいし。いつにも増して可愛く見えたもんだからさぁ。寝ぼけて、夢でも見てんじゃねーかって思い込んでて。俺、勘違いしそうになったもんだからさぁ。悪かった。そんなに怒るなよ。あんまり怒るとせっかくのメイクも可愛い服も台無しだろ? メチャクチャ綺麗で、スッゲー似合ってんのに」

 そんなとってつけたような言葉で今更ながらにフォローしてきて。

 宥めるようにして、ハーフアップにしている私の髪を優しい手つきで撫でつつ、後頭部からはじまって、耳元や項というように、絶え間なく優しいキスの雨を降らせてくれている。
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