エリート外科医の不埒な純愛ラプソディ。

 探るようなその言葉に、一瞬だけ、動揺しかけたものの、なんとかいつもの調子を崩すことなく対応することができて。

「ーーえ!? あっ、まー、色々と助けてもらってるしね。そんなことより、膝枕どうすんのよ?」

 なんとか話題を逸らそうと放った私の言葉にも。

「膝枕、やってくれんの?!」
「だって、眠いんでしょ?」
「あっ、ああ。じゃあ、頼む」

 窪塚は相当眠いのか、やけに嬉しそうに膝枕に食いついてきて、私のことを腕から解くと、温度が上がってしまった車内の温度を下げるのにエンジンをかけてから。

「これでよしと。じゃあ、十分だけ頼む」

 私に向き直ってきた窪塚の姿にようやく話題が変わったとホッと胸をなで下ろすことができた私は、気恥ずかしさを誤魔化すために、いつも以上に素っ気ないツンとした口調になってしまったけれど、なんとか取り乱さずに済んで。

「じゃあ、早くしなさいよ」
「ああ」

 それに対して窪塚は、少しでも寝られるからか、やっぱり嬉しそうに、さっきと同じ体勢で私の膝に頭をのっけてきて、職業柄か律儀にスマホのアラームまでセットすると、すぐに瞼を閉ざして気持ちよさげに寝入ってしまい。

 それからは、窪塚に、きっかりアラームが鳴るまでの十分間、膝枕をしている間中、私は窪塚の無防備な寝顔を思う存分たっぷりと堪能してから降車して、窪塚と共に駐車場を後にした。
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