エリート外科医の不埒な純愛ラプソディ。

 けれども、いざ、目を覚ましたばかりの窪塚のぼーっとした寝ぼけ眼で見つめられてしまうと。

 ーーもしかしたら、こんな風に無防備な寝起きの窪塚とお目にかかれるのも、これが最後かもしれない。

 そう思うと、決心が揺らいで、なかなか踏み切れないでいた。

 そんなことをやっている間にも、時間は刻一刻と容赦なく過ぎ去ってしまっていて。

 当然、一月前のように、一緒に朝食を作ることになるだろうと思い、その時に。そう考えていたのだが……。

「この前作ってくれた出汁巻き玉子、ほんと最高だったよなぁ」
「じゃあ、作ろうか? お腹ペコペコだし」
「けど、お前だって、仕事で疲れてるだろうし。今日は、なんかガッツリ食べたい気分だから、外で食おうぜ」

 そう言われてしまっては、それ以上食い下がることもできず、送ってくれる途中で朝昼兼用のブランチを食べに行くこととなってしまい。

 結局、肝心なことは何も言い出せないままに、つい先ほど、居候中である伯父の家の近くのコインパーキングへと辿り着いてしまったところだ。
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