エリート外科医の不埒な純愛ラプソディ。

 いつもの強引さを遺憾なく発揮してきた窪塚からの言葉によって。

「だったら、お前は両親に俺のこと説明するのに、『ただのセフレだから気にしないで』とでも言うつもりか? お前、嘘つくの下手だし。言わなくてもすぐバレんぞ? そんなことになってみろ。お前、今度こそ見合いさせられんじゃないのか? それでもいーのかよ?」
「ーーッ!?」

 医大を卒業して家を出る際に、両親と交わした約束のことを思いだしてしまった私は、それ以上、窪塚に反論することなどできずに押し黙ることしかできないでいた。

 窪塚が両親と交わした約束のことまで知っていたことには驚いたけれど、おそらく、一夜の過ちを犯してしまったあの夜に自ら話していたのだろう。

 その約束というのは。

 一つ、両親の元を離れて暮らすからには、自分の言動には責任を持つこと。

 二つ、何か困ったことがあれば、一人で解決しようとせずに、両親や周りの人を頼ること。

 三つ、特に異性との交際には留意すること。もしも何か問題が生じた時には、問答無用で、それ相応の相手と見合いさせる。

 というもので、三つ目に関しては、未だに子離れできない極度の心配性である父親が独断で決めたことだ。

 あの時は、私のことを心配してのことだとはいえ、外科医になることを猛反対されたことで、特に父への反発心から、家を何が何でも出たかったために致し方なく、一家を出る条件として約束を交わしはしたが、まさか、こんなことになるとは。
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