エリート外科医の不埒な純愛ラプソディ。
ーーあーあ、あんな約束、交わすんじゃなかった。
今頃になって、後悔してしまっていた私の耳に、窪塚から有無を言わせないというように気迫に満ちた低い声音が届いて。
「ボケーッとしてねーで、行くぞ」
「ーーへ!? 行くってどこに」
その声に驚いた私が間抜けな声を放つと同時に、弾かれるようにして窪塚に目を向けると。
ドキリとするくらい真剣な面持ちをした窪塚のこれまた真剣な強い眼差しに見据えられ、圧倒されてしまった私は、瞬きも身動ぎさえもできずにただただ見つめ返すことしかできないでいた。
そんな有様の私に、トドメとばかりに、
「はぁ!? お前の両親に挨拶しに行くに決まってんだろうが。ほら、行くぞ」
相変わらずの有無を言わせないという威圧感半端ない気迫に満ちた低い声音で凄まれてしまい。
少々躊躇い気味ではあったが、気づいたときには、えらく素直に「は、はい」なんてしおらしく応えてしまっていて。
ーーど、どうしよう。メチャクチャ嬉しい。
成り行き上とはいえ、当然のことのように躊躇することなく、両親に挨拶をすると言ってくれた、窪塚の男らしい言動に、非常事態だというのに、不謹慎にも、ときめいしてしまっていた私の胸はキュンキュンと鳴り響いてしまっていた。