エリート外科医の不埒な純愛ラプソディ。
「一人娘の鈴のことが心配なのはわかるけど。ほどほどにしとかないと、もうずーっと口きいてくれないままでもいいの? 私に似て、鈴は頑固なんだから。そのうち戸籍まで抜いて、勝手に婚姻届出されちゃっても知らないからッ」
これでもかというように、父の不安を煽るようなことをわざと言ってのけると。
途端に、真っ青な顔になって、オロオロした様子で気遣わしげに、母と私の様子とを交互に見比べるようにして視線を往復させている父に、最後の仕上げとばかりに、
「隼。ふたりの話、ちゃんと聞いてあげるわよね?」
強い口調で畳み掛けた、揺るぎない母の言葉のお陰で、父が間髪入れずに、
「も、勿論だよ」
と即答してくれたことにより、なんとか話を聞いてもらえることになって。
こんなところで立ち話もなんだからと言ってくれた母の気遣いにより、コインパーキングから伯父の家の客間へと場所を移したのだった。
そうしてなんとか名刺交換と挨拶も終えた現在、私と窪塚は、伯父夫婦を交えて、今まさに両親というか父と真っ向から対峙しているところだ。