エリート外科医の不埒な純愛ラプソディ。

 けれども、父に納得してもらえる保証なんてどこにもない。

 そうなれば、私はお見合いさせられてしまうかもしれないし、窪塚とももうこんな風に会えなくなってしまうだろう。

 さっきのオロオロした姿が嘘だったかのように、険しい表情を浮かべてこちらをジッと見据えたままでいる父を前に、不安がムクムクと膨れ上がっていく。

 どうにか不安に押し潰されないためにも、膝の上で作った拳にぎゅっと力を込めてやり過ごそうとしていた私の拳は、いつしか隣の窪塚の大きくてあたたかな手により力強く包み込まれていた。

 一瞬、両親や伯父夫婦に気づかれやしないかと肝を冷やしかけたけれど、座卓の下なので、気づかれる心配はなさそうだ。

 窪塚にどんな意図があるかは不明だが、

 ーーそんなに心配しなくても、俺がなんとかしてやるから、安心しろ。

 そう言ってくれているような気がして。

 ゲンキンな私の心は、たちまちいつもの調子を取り戻していた。

 恋のパワーには凄まじい威力があるようだ。
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