エリート外科医の不埒な純愛ラプソディ。
「……え? いや、だから。医大の同期で、職場の同僚でもあって、その……」
途端に、しどろもどろになってしまった私のことを父は尚も追い詰めてくる。
「どうしたんだい? 鈴。言いづらそうだけど。まさか、パパとママに説明できないような関係なのかい?」
そうしておそらく何かを察していて、始めからそのことを追及するつもりでいたのだろう。
たとえそうだとしても、両親や伯父夫婦の前で、そんなことを認められるわけがない。
そんなこと認めたら、お見合いさせられて、そのまま結婚までさせられかねない。
そんなことになったら、もう二度と、窪塚と会えなくなってしまう。
ーーそんなの絶対イヤだ!
「……パパってば信じらんないッ! 何言っても疑ってばっかりで、信じてくんないんじゃ、話しても無駄じゃない! もういいッ! パパとはもう二度と口きかないからッ!」
なんとかしてこの場を切り抜けようと、いつもの如く強い口調でピシャリと言い放ち、隣の窪塚の腕を引っ掴み。
「窪塚、行くわよッ!」
窪塚に声をかけたところで、投げてよこされた。
「鈴、待ちなさいッ!」
私のことを引き留めようとする父の静止の声にもスルーして、そのまま立ち去ってしまおうと思っていたのだが。
他でもない窪塚の手により手首を掴んで制されてしまうのだった。