エリート外科医の不埒な純愛ラプソディ。

 それに対して、樹先生から思いがけない言葉が返ってきて。

「あっ、それともう一つ。お前にいいこと教えといてやるよ。隼さんは、極度の心配性だからちょっと厳しいかもだけど。母親のほうは、お前のこと気に入ってくれてたらしいぞ? それで今回のことで隼さんに対して相当怒ってるみたいでさぁ。隼さんもちょっと参ってるみたいだって、親父が言ってたし。だからさ、めげずに頑張れよ。鈴も、お前に逢えなくなって、相当落ち込んでるみたいだしさぁ」

 ーーそんな情報持ってんなら、最初に言ってくれよ。

 胸の内で、盛大な悪態を繰り広げつつも。

 確かに、さっきも高梨が落ち込んでる風なこと言ってたけど。

 樹先生は、俺らがセフレだってこと知らないからなぁ。

 でも、樹先生の彼女である本城は高梨の親友だし。

 樹先生が言うように、それが本当に、俺に逢えないからだとしたら。

 ーー可能性があるって捉えてもいいんだよな。

 否、もしそうじゃなかったとしても、こんなことで臆病風に吹かれている場合じゃない。

 どっちにしたって、このままただ指を咥えて眺めているだけじゃ、今までと何も変わらないんだし。

 折角、ここまで高梨に近づけたんだ。

 もうここまで来たら、前に突き進むしかない。

 当たって砕けたとしても、何もしないよりはマシだ。

 樹先生の言うように、悔いのないように、最後まで全力を尽くして、前進あるのみだーー。
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