エリート外科医の不埒な純愛ラプソディ。
藤堂に連れてこられた医大の最寄り駅近くの雑居ビルの一階にある、船をイメージして造られたというこじゃれたバーは、大人の隠れ家という言葉がしっくりとくる落ち着いた趣のある店だった。
なんでも、新鮮な果物を使ったオリジナルのカクテルがSNS映えするといって人気があるらしく、店内にはカップルや若い女性客らで賑わっていて、綺麗に磨き上げられた味わい深い木目調のカウンター席に座ると、左手にある窓からは、額縁に納められた絵画ような、煌びやかな都会の夜景を眺めることができる。
そんなこじゃれたバーのカウンター席で藤堂と隣り合って、軽く腹ごなししてから、酒の入ったグラスを傾けつつ、お互いの近況や仕事に関してのあれこれを語り合っているのだが……。
「窪塚は相変わらずジムとか通ってんの?」
「ああ。前よりは減ったけどな。いい気分転換にもなるし」
「やっぱ窪塚はタフだなぁ。俺には無理だわ。そんな時間があったら少しでも寝ていたい」
「まぁ、確かに。忙しいもんな」
ーー俺、こんなとこで何やってんだろうなぁ。
確かに、当たって砕けたからって、どうってことない。とは思ったけどさぁ。何もこんな目に遭わせなくてもいいんじゃねーの?
万が一にでも、高梨とよりを戻すことになりそうだとか。そんなこと言わないでくれよな。
ーー頼むから、高梨の話題にだけはなりませんように。