エリート外科医の不埒な純愛ラプソディ。

「……は、はぁ。否でも」

 一方、藤堂にそんなことを言われたからって、おそらく鬼の形相で今にも殴りかかりそうな勢いで、鬼気迫る俺の様子に、バーテンはどうしたものかと躊躇っているようだ。

 俺はといえば、いよいよ怒り心頭に発するという言葉通り、藤堂の胸倉を掴んでいる手に尚も力を込めて、怒りでぷるぷると打ち震える腕を自分の眼前へと引き寄せ。

「お前、人を虚仮《こけ》にするのも大概にしろよ。そんなに俺に殴られたいなら今すぐ殴ってやるよ」

 未だにやけた笑みを浮かべてヘラヘラとしている藤堂のことを間近で睨みつけつつ低い声で凄むも。

「殴りたいなら殴れよ? けど、殴ったら、そこでお前の人生終わりだぜ? 勿論、外科医としてもな。それでもいいのかよ?」

 藤堂は少しも怯むことなく、『殴ったら傷害で訴えてやるからな。それでもいいのか? だったら、殴れるものなら殴ってみろよ』とでも言いたげな口ぶりで脅してきやがった。
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