エリート外科医の不埒な純愛ラプソディ。
そんな有様だった私の動揺をめざとく察知したらしい窪塚が一瞬だけ驚愕な表情をチラつかせ、酷く狼狽えたように訊き返してくる。
「……ま、まさか、お前、しょッーー」
確かに、窪塚に言われたように、医大生の頃から、医者、それもずっと外科医を目指していた私は恋愛ごとになんか一切関心がなく……というか、そんなモノに現を抜かしているような余裕がなく。
ずっと勉強に明け暮れていて、周囲の男子からは”見せかけだけの堅物女”なんて揶揄されていたほどだった。
それは、院長の愛人なんて噂され、ビッチなんて呼ばれている今でも、内情は全くと言っていいほど変わらない。
そう、正真正銘の処女だった。
正確には、ついこの前までは、だけれど。
けど、こんなクズ男に処女を捧げたなんて、これ以上の屈辱はない。
それこそ末代までの大恥だーー。
そんなもん、肯定なんてできるはずがない。
それに、この前だって、既に致してしまってた記憶しか残っちゃいないんだから、あんなのは無効だ。ノーカウントだ。
だから別に嘘をついてる訳でもない。ということにしておく。
「バッカじゃないの? あんたが初めての男な訳ないでしょうがッ! 寝言は寝ていえ、このクズ男! フンッ!」
瞬時に否定し、心なしか青ざめて見える窪塚に捨て台詞をお見舞いしてから、これ見よがしにそっぽを向いて見せた。
内心では、バレやしないだろうかと肝を冷やしちゃいるが、どうにか誤魔化せたはず。