エリート外科医の不埒な純愛ラプソディ。
窪塚の胸にしがみつき、あり得ない羞恥に見舞われて絶賛身悶え中の私の顔色を窺うようにして、そうっと覗き込んできた窪塚の声が耳に流れ込んできた。
「もう済んだことなんだしさ、そんなに落ち込むなよ」
けれども、自分のとんでもないやらかしが猛烈に恥ずかしくて、もうどうしようもない。
お陰で、顔どころか全身真っ赤に違いないので、見られたくなくて尚もギュギュッと顔を胸に押しつけてやり過ごそうとしているのに。
「……ヤダ。見ないでッ!」
そんな私に窪塚は、「はいはい」なんて言ってきて、いつぞやのように、私の背中を宥めるようにして優しく撫でつつ、どこか嬉しそうな声音で話しかけてくる。
「けどさぁ、そのお陰で、念願叶ってようやくこうしてお前と一緒にいられるんだし。俺は感謝してる。だからそんなに落ち込まなくてもいいんじゃねーの?」
窪塚の言葉に対して、こっちの気も知らないで、いい気なもんだ、としか、私には思えないでいた。
「……他人事《ひとごと》だと思って。それに嬉しそうにしちゃって。なんか腹立つッ!」
だから、いつも以上に可愛げのない言葉を放つことができないでいたのだ。
それなのに……。
「俺が嬉しそうにするのは当然だろう? 言っとくけどな。お前に一目惚れしてから九年だぞ。九年。九年近くもの長い間、ずっとずっと恋い焦がれてきたんだ。メチャクチャ嬉しいに決まってんじゃんっ」
やっぱり窪塚は相も変わらず嬉しそうな声音でそう言ってきて。終いには。
「さっさとケリつけて、一分でも一秒でも早く、長年想い続けてきた鈴のことを本物の恋人にしたくてたまんねーんだからさ」
軽い口調とは裏腹な情熱的な言葉を真っ直ぐにぶつけられてしまうのだった。