エリート外科医の不埒な純愛ラプソディ。
けれども、極度の心配性の父のことだから、一筋縄ではいかないとは思っていたが、この重苦しい雰囲気と、怖い顔で眉間に深い皺を寄せて無言を貫いている父の様子からして、やっぱり、折れてくれそうにない。
ーー今度こそ、親子の縁を切るしかないのかな。
私は窪塚の隣で、諦めの境地でいた。
そんな中、窪塚が口火を切ろうとしたところで、意外にも母の声が沈黙を破った。
「隼。わかってくれてると思うけど。私は鈴と窪塚くんの味方だから。そのつもりでね」
「……あっ、ああ。勿論だよ」
それに対して父は、伯父らが言っていたように、母に相当絞られてでもいるのだろう。
母の言葉に戦々恐々といった感じで、さっきまで醸し出していた威厳が台無しだ。
そのことで、張り詰めていた重たい空気がふっと和らいだ気がする。
いい具合に、風向きが変わったタイミングで、窪塚の先制攻撃が開始されたのである。
「ご存じだと思いますが、事故で鈴さんを助けた如月優は、私の従兄弟です。心配されるのは無理もないでしょうが、鈴さんのことは、私がどんなことをしてでも守って見せますので、この前の約束は取り消して頂き、結婚を前提とした交際をお許し頂けないでしょうか。どうか、よろしくお願いいたします」