エリート外科医の不埒な純愛ラプソディ。
ちょっとした黒歴史みたいなモノとでもいようか。まぁ、そんなとこだ。
そんなこともあり、それ以前よりも、恋愛ごとから避けてきたところもあった。
でも実際には、そんなものよりもーー外科医になりたい、という幼い頃からの夢を叶えることのほうが、私にとっては、何よりも大事だったからだ。
同じ医大の同期であるとはいえ、窪塚がそんな昔のことを覚えていたことには少々驚いたけれど、藤堂とのことで、窪塚にどうこう言われる謂れはない。
「何よ? だったらどうだっていうのよ? あんたには関係ないことでしょッ! フンッ!」
「否、どうこうというより、ようやく合点がいった。お前が藤堂のことを未だに未練がましく想ってるから、この前、失恋したてだった俺にお前が同情したってのがよーく分かった」
窪塚の口ぶりからして、これまでの失礼な言動のあれこれがどうやらカマをかけられていたようだというのが窺えて、腹立たしいはずなのに。
それなのに、窪塚から『失恋』なんていう意外な単語が出てきたものだから、腹立たしさなんてどこかに霧散してしまい、驚くと同時に、『同情』なんてした覚えもなく、再び頭の中が疑問符ばかりで埋め尽くされてゆく。