堂くん、言わないで。


そのうち意識がぼんやりしてきた。


泣くだけ泣いて眠るなんて、子どもみたいだ。


だけど襲いくる睡魔には勝てず、わたしは夢のなかへと引っぱられる。




つめたくて、だけどあたたかくて。

まるでやわらかい毛布にくるまれるような感覚。




今日のことを思い返して、ああ、と思う。


悲しかったし、つらかったけど……




たぶん後悔はしてないな、って。







「……────」



堂くんがなにか言った。



なんて言ったの?



聞き返す言葉が出ることはなく、わたしは夢のなかに落ちていく。




こうして今日。


わたしはなんとなくぼっちから、正式なぼっちになったのだった。




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