不本意な初夜でしたが、愛され懐妊妻になりました~エリート御曹司と育み婚~
「うーん……。前置胎盤については、正確に言うと辺縁前置胎盤といったほうがいいですね」
「辺縁前置胎盤?」
「はい。胎盤のすべてが子宮口を塞いでいるわけではなく、胎盤の端が子宮口にかかっている状態のことで、こちらについては週数を重ねるうちに胎盤が動いてくれる可能性があります」
それは以前通っていた産婦人科の先生にも言われたことだった。
赤ちゃんが大きくなって子宮が大きくなると、胎盤の位置が動く可能性があるという話だ。
「じゃあ、胎盤が動いて子宮口から離れてくれれば、普通分娩で赤ちゃんを産める可能性があるってことですか?」
「それについては、そうですね。でも……藤嶋さんの場合は前置胎盤より、もっと気になるところが見つかりました」
志村先生はそう言うと、徐にA4サイズの紙を取り出した。
「だいぶ珍しい症例なのですが、藤嶋さんは前置血管も併発している可能性が高いです」
「前置血管?」
初めて聞く言葉に困惑した私を前に、志村先生はたった今取り出した紙にペンを滑らせ、状況をわかりやすく絵に描いて説明をしてくれた。
「まず、子宮口の付近を太い血管のようなものが通っているのが見えました」
「太い血管……」
「はい。つまりここから予想されるのが前置血管という症例なのですが、それがどういう状態かと言いますと、赤ちゃんとお母さんを繋ぐ血管が剥き出しの状態で胎盤の端から出ていて、更に子宮口のあたりを這うように走行し、赤ちゃんの臍の緒に繋がっている……という感じですね」
志村先生が描いてくれた図を見ながら説明を受けたけれど、私の頭の中は真っ白で、何をどう受け止めたらいいのかわからなかった。