不本意な初夜でしたが、愛され懐妊妻になりました~エリート御曹司と育み婚~
「うわ、めちゃくちゃ久しぶりだな。高校以来か?」
偶然の再会に声を弾ませたのは白衣姿の森先輩だ。
爽やかで優しい雰囲気はあの頃と少しも変わっていなくて、灯と同じ空間にいるとなんだかタイムスリップしたような気持ちになった。
「……そうだな、高校のとき以来か」
「だよなー。っていうか、悪い。こんな話してたら奥さんが驚くよな。すみません、俺とご主人は高校のときの同級生で」
……知ってます、とは、なんとなく言えない空気だった。
というのも私の背後に立つ灯から、身も凍るような冷たい空気を感じたからだ。
でも、改めて私の顔を見た森先輩は、何故か数回目を瞬かせたあと、「あっ!」と小さく声を上げた。
「もしかして、灯の幼馴染だった牡丹ちゃん!?」
「え? あ、は、はい、そうです」
まさか森先輩が私のことを知っていたとは思わなくて、驚きと緊張で咄嗟に頬が紅潮した。
「え〜、そうかぁ。藤嶋、牡丹ちゃんと結婚したんだ。ふぅん、へぇ〜」
当の森先輩は灯の結婚相手が私だとわかると、何故かニヤニヤしながら灯の顔を伺った。
「森先生、思い出話に花を咲かせているところ申し訳ないけど、ちょっと前置血管についての話を進めていいですか?」
ストップをかけて話を戻したのは志村先生だ。
志村先生に言われて我に返ったらしい森先輩は、「そうだな」と仕切り直すと改めて私の状況について説明してくれた。