不本意な初夜でしたが、愛され懐妊妻になりました~エリート御曹司と育み婚~
「なので、前置血管の場合は陣痛がくる前に帝王切開で赤ちゃんをお母さんのお腹から取り出すのがマストになります。このあとの経過にもよりますが、大体出産予定日の二ヶ月前くらいから管理入院していただき、予定帝王切開でのお産になるかと思います」
いよいよ、状況についていけなくなってきた。
でも、これは自分のことだけでなくお腹の子の命に関わることだ。
なんとか平静を保ちながら、私は森先輩の言葉に必死で耳を傾けた。
「とはいえ、前置血管の診断はとても難しく……帝王切開でお腹を開けてみないと、実際はどうなっているかわからないという場合もあります」
「でも、少なくとも前置血管の可能性はあるということですよね?」
「はい、その可能性は非常に高いです」
私の質問にハッキリと返事をした森先輩の目は、真剣そのものだった。
そんな……まさか、前置胎盤というだけでなく、前置血管なんてものまで併発していたなんて信じたくない。
「とりあえず、今日はこのままお帰りいただくことにはなりますが、日常生活はなるべく安静を心掛けてください」
「あ、あの! 私、仕事をしているんですが、それは続けても大丈夫なんでしょうか?」
「そうですね……。身体へ大きな負担がかかるものだと、医師としては続けていいとは言えません。ですが今言ったとおり、まだ六ヶ月に入ったばかりですし、これからの検診でまた違った所見も出てくるかもしれないので、とにかく今は無理のないように生活をしていただけたらと思います」
まるで心を真っ黒に塗り潰されたみたいな絶望感に襲われた。
赤ちゃんと自分の命はもちろん大切で最優先しなければいけないことだけれど、そうすると私はまた職場のみんなに迷惑をかけてしまう。
どうしよう……私、フジロイヤルのフロントの仕事を続けていけるんだろうか。って、今はそんなことを考えている場合じゃないのかもしれない。
お腹の子の命を一番に思うなら、そもそもこんなふうに悩むこと自体おかしいのかも。
どうしよう……。思った以上に動揺している。