不本意な初夜でしたが、愛され懐妊妻になりました~エリート御曹司と育み婚~
「失礼します。急に入院になって驚いたでしょ、大丈夫かな?」
「あ……はい。でも、いつかは管理入院になるってわかっていたので、覚悟はしてました」
「そっか。藤嶋はこのあと来られるのかな──って、牡丹ちゃんも今はもう藤嶋か」
面白そうに笑った森先輩につられて、私まで笑ってしまった。
まさか高校時代、ただ見ていることしかできなかった憧れの人と十数年が経ってからこうして面と向かって話せるときくるなんて、とても不思議だ。
「あの、森先輩……あ、すみません。森先生は、どうして私の名前を知っていたんですか?」
「ははっ。全然、森先輩で大丈夫だよ。知り合いに先生って呼ばれるのはくすぐったい感じがするし、あまり気を使わないでくれると助かる」
「は、はい……。じゃあ、お言葉に甘えて森先輩って呼ばせていただきます」
思わずペコリと頭を下げると、森先輩はまた面白そうにクスクスと笑った。
「で、俺がなんで牡丹ちゃんの名前を知ってるかって質問の答えだけど、それは高校のときに藤嶋から話を聞いたことがあるからだよ」
「え……灯から、私の話を?」
思いもよらない話に、私は首を傾げてキョトンと目を丸くした。
灯が私の話を森先輩にしていたなんて……。いったい、どんな話をしていたんだろう。
「うーん……。こんなこと、勝手に牡丹ちゃんに話したら藤嶋に怒られそうだけど、ふたりはもう結婚もしてるんだし、まぁ思い出話と受け取ってもらえたらOKかな」
森先輩はこれから話すことに対しての予防線のようなものを張ると、懐かしい高校時代の出来事を語り始めた。