不本意な初夜でしたが、愛され懐妊妻になりました~エリート御曹司と育み婚~
「藤嶋さん、終わりましたよ。ご気分悪くなったりはしていないですか?」
「はい……大丈夫です。ありがとうございます」
「それじゃあ、お部屋を移動しましょう。ご主人が待っていますよ」
一通りの処置を終え、私は寝そべったまま手術室から少し離れた部屋へと運ばれた。
「こちらでしばらくお休みになってから、お部屋に戻りましょう」
病室みたいな部屋だ。まさに抜け殻になったみたいに、ぼんやりと真っ白な天井を眺めていると、近くを離れた看護師さんと交代で灯がやってきた。
「牡丹? 大丈夫か? 頑張ったな……」
「灯……」
私を見下ろす優しい目と目があった瞬間、今さらながら自分は無事に出産を終えて戻ってこれたんだと実感した。
「赤ちゃん、女の子だったよ」
「ああ……聞いたよ。さっき、少しだけど会えた。すごく可愛かった。牡丹、本当にありがとう」
そっと細められた灯の瞳は濡れている。
長いまつ毛も濡れそぼっていて、気づいたらまた私のこめかみを温かな涙が静かに伝い落ちていた。