不本意な初夜でしたが、愛され懐妊妻になりました~エリート御曹司と育み婚~
「牡丹、あなたまさかとは思うけれど、その男の子とお付き合いしているなんてことないわよね……?」
「だから、どうしてそんなことをお母さんに言わなきゃいけないの⁉ 婚約だなんだって、もう、うんざり! そんなに私と灯を結婚させたければ、私じゃなくて灯に直接言えばいいでしょ!」
とうとう我慢の限界を迎えた私は本音を叫んだあと、乱暴にドアを開けて家を飛び出した。
そのまま、とりあえず近くの公園まで行こうと歩いていたら、偶然、塾帰りの灯に出くわした。
「牡丹? そんな泣きそうな顔して、どうした?」
制服姿の灯はそう言うと、とりあえず公園のベンチに座ろうと言って私の手を引いた。
温かくて大きな手に冷え切っていた手を包まれたら、余計に泣きたくなったことを今でも鮮明に覚えている。
この頃には頭ひとつ半ほど身長差も出ていて、広くなった背中がやけに頼もしく見えた。
でも、そう思って気を許してしまったのがそもそもの間違いだったのかもしれない。
というより、このときの私は灯のことを幼馴染としても友達としても信頼しきっていたから、自分の悩みを打ち明けることにも迷いがなかった。
「実はお母さんに、こんなことを言われて……」
そして私は両親が灯のお父さんが口にした冗談を真に受けて、私を灯の将来の妻として教育しようとしていることを話した。
加えて、母は私の交友関係にまで口を出し、片想いしている憧れの森先輩と付き合っているのかと詰め寄られたことも打ち明けた。