不本意な初夜でしたが、愛され懐妊妻になりました~エリート御曹司と育み婚~
「灯は森先輩とも仲が良いし、先輩と私が付き合ってないことくらい知ってるでしょ? っていうか、そもそも森先輩とは話をしたことすらないのに……。それに今時、政略結婚だとか婚約だとか馬鹿げてるよ。灯もそう思うよね?」
灯は黙って私の話を聞いてくれていた。
昔から灯は私に何かあるとまず話を聞いてから的確なアドバイスをくれるので、このときも当たり前にそう思っていた。
「お母さんがマチコちゃんだけじゃなく、森先輩にまで迷惑をかけたらどうしよう……。森先輩に変な女だと思われたら、告白もできずに諦めなきゃいけなくなるかも」
高校内で偶然すれ違ったり、遠くから見ているだけで幸せだった。
だけどいつかは先輩に話しかけて、気持ちだけでも伝えられたらいいと思っていたんだ。
そんなふうに密かに抱いて大切にしていた恋心が、まさかこんなことで危機に晒されるとは思ってもみなかった。
「ねぇ、灯から森先輩に、何かあればすぐに私に報告してほしいって伝えてもらえない? あらかじめ話を聞いていたら、何かあったときに森先輩を驚かせずに済むだろうし……」
ただ、必死だった。幼い恋を守りたくて、私は灯に縋ったのだ。
なぜなら灯も私と同じように、政略結婚だとか、婚約だとかくだらないって考えていると思ったから。
親同士の確執で子供の意志がないがしろにされ、将来が決められてしまうなんてバカげていると、灯も言ってくれると信じていた。