不本意な初夜でしたが、愛され懐妊妻になりました~エリート御曹司と育み婚~
 


「灯は先にNICUに行って見てきたんだよね?」

「もちろん、来てすぐに会ってきたよ」


 あのあと灯だけが小児科の先生から説明を受け、赤ちゃんはやはり早産児ということもあり体重がニ○○○グラムと小さく、まだ呼吸も安定していないので酸素の管をつけて保育器に入ったとのことだった。

 頑張っている我が子に、私はまだ触れるどころか再会すらできていない。

 だから歩く! 自分の足で歩いて、根性で愛娘に会いに行く!


「とりあえず、可愛さで言ったら世界一かな」


 対して、昨日から隙あらばNICUに足を運んでいる灯はすっかりメロメロになっていた。

 NICUは携帯電話の持ち込みが禁止のため、今日は面会用にデジカメをスタンバイしてくるという周到さだ。

 昨日は泣いてたくせに……なんて、感動が台無しになるから言わないけど、無傷でピンピンしている灯を見ると、ちょっとだけ恨めしくもなってしまう。


「藤嶋さんの赤ちゃんは、こちらですよ〜」


 それでも灯に支えられながら、なんとか牛歩でNICUにたどり着いた私は、約一日ぶりに我が子の顔を見ることができた。


「はじめまして、あなたのお母さんだよ……」


 昨日は頭の中がほぼ真っ白で、ちゃんと挨拶ができなかった。

 改めて対面した我が子は小さくて、お腹の中にいたときと同じでムニャムニャと手や足を動かしていた。

 ……控えめに言ってめちゃくちゃ可愛い。たまらなく可愛い。本当に可愛い。

 だけど口と鼻に管がつけられた姿を目の当たりにしたら胸がつまって、目には罪悪感の涙が滲んだ。

 
< 151 / 174 >

この作品をシェア

pagetop