不本意な初夜でしたが、愛され懐妊妻になりました~エリート御曹司と育み婚~
「臨月まで、お腹の中に入れておいてあげられなくてごめんね……。でも、元気に産まれてきてくれて本当に本当にありがとう」
ガラス越しに想いを伝えると、赤ちゃんは可愛い欠伸で返事をしてくれた。
我が子を前にしたらお腹の中にいたとき以上に、この子を絶対に守りたい!という気持ちが溢れてくる。
これが、母性本能っていうやつなのかな。心なしか、少し胸も張ってきたような気がした。
「ママとパパが来てくれてよかったねぇ〜」
そのあとは予め搾乳しておいた母乳を管を通してあげている姿を看護師さんに見せてもらい、赤ちゃんの退院は出産予定日だった一ヶ月後を目安に考えてほしいと主治医から説明を受けた。
まだ保育器から出すことができないので抱っこはできなかったけれど、保育器の中に手を入れさせてもらって銀杏の葉ほど小さな温かい手に触れることができた。
「NICUには赤ちゃんのパパとママしか入れないので、ご親族の方は赤ちゃんが保育器を出られてからガラス越しでの面会になります」
だけどNICUを出るときに看護師さんからそんな説明を受け、不意に妊娠報告以来会っていない両親のことが脳裏をよぎった。
「ねぇ、灯……。灯のご両親には、無事に子供が産まれたこと、報告したんだよね?」
病室に戻ってきて、灯とふたりきりになり、私は思い切って灯に尋ねた。
灯のことだから、ご両親には今回の入院や出産も含め、諸々報告済みだと思う。
だけど私の両親への対応については、なんとなく聞けずにいたままだった。