不本意な初夜でしたが、愛され懐妊妻になりました~エリート御曹司と育み婚~
 


「電車を使ったら反則だとか、わけのわからないルールを決めちゃってさ。それで、家からふたりで歩いてここまで来ようとしたけど全然無理で……。私、自分が言い出しっぺのくせに、途中で泣きだしちゃったんだよね」


 気がつくともう日が暮れ始めていて、自分たちがどこまで歩いてきたのかもわからなくなっていた。


「でも、灯が〝俺が一緒にいるんだから大丈夫だ〟って言ってくれてさ。まぁ結局、灯が持たされてたGPSのおかげで迎えが来て事なきを得たけど……。あのときの灯、すごくカッコよかったな」


 チビで泣き虫の私の手をギュッと握って、絶対に離さないって言ってくれた。

 あの頃の私は灯のその一言で落ち着いて、灯がいれば何があっても大丈夫だなんて絶対的な自信が持てた。


「考えてみたら、あの頃から変わってないなぁ。灯がそばにいて、大丈夫って言ってくれると不思議と自信が持てて、本当に大丈夫かもって思える。今も私は、あのときと同じだよ」


 妊娠、出産を通して、改めてお互いの想いを確認しあって、離れていた手と心を繋ぎ直した。

 でも、思い返すと私は、灯が相手だからこそ結婚だって泣く泣く承諾したんだと思う。

 灯となら……って、最初から心のどこかで思っていて、結婚を受け入れたんだ。

 
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