不本意な初夜でしたが、愛され懐妊妻になりました~エリート御曹司と育み婚~
「じゃあ、今日のこれはあのときのリベンジってわけか?」
「ふふっ、そうだね。二十数年ぶりのリベンジだけど車で来ちゃったから、あの頃の私達にはルール違反だって怒られるかもしれないけど──」
言いかけた言葉は、唇を塞がれたせいで声にならなかった。
ゆっくりと身体が離され、鼻先が触れ合う距離で目があったら心臓が早鐘を打つように高鳴りだした。
「と、灯っ。今まだ昼間だし、ここ外だけど……っ」
「関係ない。だって、小学生のときの俺のリベンジだし」
「どういうこと?」
思わず首を傾げると、私を見下ろす灯は何かを懐かしむように柔らかな笑みをたたえた。
「牡丹、好きだよ」
「え……」
「あのとき俺は、無事に公園に着いたら、牡丹に告白しようと思ってたんだ。だけど、結局できなくて……。結果として拗らせて、今に至る」
だから、これでリベンジ成功。
なんて続けて面白そうに笑った灯は、寝そべったまま驚いて固まる私の髪を優しく梳いた。
「灯って……一体いつから、私のことが好きなの?」
「教えない」
「……ケチ。じゃあ、私からの告白の返事も教えないし」
わざとらしく顔を背けると、ふっと小さく息を吐いた灯はまぶしそうに目を細めた。
「別にいいよ。だってもう、返事は聞かなくてもわかってるし」
ゆっくりと身体を起こした灯が青い空を背に笑うから、たまらなく愛おしい気持ちになった。
私達は何度も道を間違え、迷いながら、ようやくここにたどり着いた。
これは今だからこそ言える言葉だけれど、きっと、すべてが私たちには必要な時間だった。
ふたりで遠回りしながら歩いた道程のおかげで気づけたことが、たくさんある。