不本意な初夜でしたが、愛され懐妊妻になりました~エリート御曹司と育み婚~
「勉強熱心なのはいいけど、今日は誕生日だろう? もうそのへんにして、少しはスイートルームの宿泊者らしい過ごし方をしたらどうだ?」
「あ……うん、そうだよね。ごめん、なんかついワクワクしちゃって」
もちろんスイートルームを満喫できるからではなく、現役フロントスタッフとして普段見られない別ホテルの様子を楽しめることに浮足立っていた。
「でも、こんなに素敵な部屋に宿泊しないで帰るって、やっぱりちょっと勿体無いね」
ガラス張りの窓から外を眺めて、曖昧な笑みを浮かべた。
せっかくのスイートルームだけれど、今日は二十一時には百花を迎えに行くので、二十時半にはチェックアウトしてホテルを出る予定だ。
お泊りはお預け。ちょっと寂しくも感じるけれど、やっぱりまだ六ヶ月の百花を預けて、外泊する気にはなれなかった。
今日だってリフレッシュのために外出したはずなのに、どこにいても百花のことが気になってしまっていたし……。
レストランで料理を食べているときにも、百花もちゃんとミルクを飲めてるかな?なんて思って、連絡が来ていないか携帯電話を確認してしまうし、今も何をしているか、母親の私がいなくて泣いていないか……心配で仕方がなかった。
「また色々落ち着いたときに、ゆっくり泊まりに来られたらいいな……」
と、水平線の彼方に沈みかけた夕日を眺めながら呟いた私は、後ろに立った灯にそっと抱きしめられた。