不本意な初夜でしたが、愛され懐妊妻になりました~エリート御曹司と育み婚~
 


「そのことなんだけど。今日はやっぱり、ここに泊まろう」

「え? でも、それじゃあ百花が……」

「実は前々から計画してて、今日は二十一時に百花をホテルに送り届けてもらえることになってる。だから、今日はここに三人で泊まれるんだ。そもそも最初からそのつもりで、この部屋をとってある」


 後ろから抱きしめられている状態で灯を振り返れば、灯はしてやったりという顔で私の耳元に唇を寄せた。


「もちろん、牡丹と百花の着替えや必要なものも全部用意してあるから。だから、今日は家族水入らずでこの部屋で過ごそう」


 一体いつからそのつもりで準備をしていたんだろう。

 思いもよらないサプライズに驚いたけれど、灯が私のためだけでなく、百花のことも含めて色々と考えてくれていたことが嬉しかった。


「……ありがとう、灯。素敵なお部屋だし、百花もきっと喜ぶね」

「ああ。まぁ、百花の初スイートルーム体験が競合他社ってところは少し気に食わないけど。フジロイヤルでおもてなしするときには、今回よりも最高の時間を堪能してもらえるようにすればいいし」


 変なところでライバル意識を燃やす灯がおかしくて笑ってしまった。


「じゃあ今日このあとは、予定通りに十九時半からホテルディナーを楽しんだら二十一時には百花を送り届けてもらって、そこからは三人で過ごすって感じなの?」

「ああ。最初からその予定で組んでる。まぁ、ディナーの予約までは、あと一時間半くらい時間があるけどな」


 思わずドキリとしたのは、耳元でそう言った灯の声がとても艶っぽかったから。

 
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