不本意な初夜でしたが、愛され懐妊妻になりました~エリート御曹司と育み婚~
「今、俺につけさせて」
そう言うと灯は、【ルーナ】というブランド名のロゴが入った箱から出したネックレスを私の首につけてくれた。
光を反射して輝くプラチナとダイヤモンドがとても綺麗だ。
「ありがとう、灯。すごく嬉しいけど……。これ、本当に貰ってもいいの?」
「当たり前だろ。牡丹のために用意したものなんだから」
まさか、プレゼントまで用意してくれているとは思わなかったから、自然と顔が綻んだ。
「で、それを今日渡して、牡丹に伝えたかったことがあるんだけど」
そうだ。そういえば灯はさっき、このネックレスは誕生日プレゼントではなくて、もっと別の意味があるんだって言ってたっけ。
「伝えたいことって?」
灯を真っすぐに見つめながら首を傾げると、不意に灯の手が私の手を掴んで持ち上げた。
その手の甲に、そっと優しくキスをされる。
まるで映画のワンシーンみたいだな……なんて呑気に見惚れていたら、黒曜石のような光を持つ双眸に力強く射抜かれた。
「牡丹、俺と結婚してほしい」
「へ……?」
「プロポーズ、できてなかったから。もう一度きちんと、やり直したかったんだ」
予想外のことに、私は呆然として立ち尽くしてしまった。
だってまさか、今さらプロポーズをしてもらえるなんて思わなくて──自然と頬が熱を持った。
「婚約指輪だけは形式的に渡してたから、悩んだ末にネックレスを渡そうって思ったんだ」
確かに灯の言うとおり、大きなダイヤモンドがついた婚約指輪は両家の顔合わせの帰りに、無造作に渡されていた。
『これ、一応渡しておく』
そのとき、婚約指輪に添えられた言葉はこれだ。
よくよく考えると、確かに私は灯からプロポーズらしいことをされていなかった。