不本意な初夜でしたが、愛され懐妊妻になりました~エリート御曹司と育み婚~
「まぁ、牡丹のことだから、そのへんを気にしてるとは思ってなかったけど」
「うん……。プロポーズされてないことにも、今まで気づいてなかったかも……」
そもそも政略結婚に近い形で結婚したから、プロポーズなんて最初からないものだと思っていて、頭からワードごと抜け落ちていた。
「牡丹は気にしてなかったかもしれないけど、俺がしたいからさせてもらった」
そう言うと灯は短く息を吐いたあと、再び私を静かに見つめた。
「一生大事にする。だから俺と、結婚してほしい」
改めてもう一度結婚を申し込まれ、鼻の奥がツンと痛んだ。
「それで、プロポーズの返事は?」
「返事って……。そんなの……」
「……そんなの?」
「当然……『はい』に決まってるよ。私……やっぱり情緒だけじゃなく、涙腺までおかしくなっちゃったみたい」
「うーっ」っと声をこぼしたら、目からはボロボロと涙がこぼれ落ちた。
嬉しい。まさか、灯がプロポーズまでしてくれるとは思わなかった。
次から次へと溢れて頬を伝う温かい涙を、灯の長い指先がそっと優しく拭ってくれた。
「今まで待たせて本当に、ごめん。これからも末永くよろしく。……愛してる」
灯の唇が、また私の唇に触れた。
まるで挙式のときにした誓いのキスみたいな軽く触れ合うだけのものだったけれど、重なった私の唇は甘く切ない熱を帯びていた。