不本意な初夜でしたが、愛され懐妊妻になりました~エリート御曹司と育み婚~
そしてその日は深夜遅くに帰ってきて、お風呂に入ったあとベッドに向かったんだと思う。
寝室は別々なので、先にベッドに入っていた私は彼が立てる物音だけで状況を判断した。
それからも先に言ったとおり灯が多忙を極めていることや、私の仕事のシフトの関係もあり、すれ違いの生活が続いていた。
下手をしたら、このまま一生何もないんじゃないかな? なんて考えたりもする。
さらに、ここまで何も求められないことを考えると、もしかして灯には外に愛人的な相手がいるのかもしれない……なんてことまで想像した。
こんなの、普通の夫婦であれば即話し合いが始まるんだろうけれど、私は別に灯と夜を共にしたいと思っているわけではないので、この状況も願ったり叶ったりだった。
「なんか……本当に、虚しい結婚生活」
チャコールグレーの天井を眺めながら独りごちたら、思わず自嘲がもれた。
この先もずっと、今の状態が続いていくのかな。
正直に言えば、灯がなぜ私と結婚したのか理由は不明だ。
だって、灯ほどの男の人なら女性は選り取りみどりだったはずだし、黙っていても女の子のほうから熱烈なアプローチをされただろう。
実際、学生時代の灯の女子人気は絶大だった。
当の本人は興味がないのか常に無関心のようだったけれど、自分の周りに集まった魅力的な女性たちを差し置いて、特に目立った特徴のない私を結婚相手に選んだ意図が未だにわからないんだ。
乾かすのが楽だからという理由で、ナチュラルボブに切りそろえた髪は高校時代から代り映えがしない。
別に、特段スタイルがいいわけでもないし、自分で言ってて悲しくなるけど、平凡を絵に描いたような女だ。
正直に言えば、いつ灯のほうから婚約破棄されてもおかしくないと思っていた。というか、婚約破棄してくれるかもしれないと期待していた。