不本意な初夜でしたが、愛され懐妊妻になりました~エリート御曹司と育み婚~
 


「だから、明日は予定通りのシフトで仕事に向かうよ」


 ゆっくりと顔を上げて灯を見て答えると、何故か灯は眉間にシワを寄せて難しい顔をした。

 ああ──灯のこういう顔を見るのは、二度目だ。一度目は約十年前に公園で話しをしたときだから、必然的に嫌な予感が胸をよぎる。


「……牡丹は随分と、米田を慕ってるよな」


 低く地を這うような冷たい声を聞いたら、反射的に身体が強張った。


「慕ってるっていうか……尊敬はしてるよ。だって米田さんは私の直属の上司だし、すごく頼りになる人だから」

「へぇ、まぁ確かに仕事のできる男だよな。だけど、頼りにすることと甘えることを間違えないようにしろよ。米田に余計な仕事を増やすことになる」


 ため息まじりに告げられた言葉に、さすがの私もカチンときた。

 なんで、そんな言い方をされなきゃいけないの? 私自身は毎日誠実に仕事に取り組んでいるつもりだし、米田さんからそういった注意を受けたことはない。

 っていうか、シフトについての連絡をもらったって話を報告しただけなのに、ここまで言われる意味がわからない。


「……灯は、なんでそんな言い方しかできないの? 少なくとも米田さんは人に注意をするときだって、今みたいな嫌味な言い方は絶対にしないし、常に相手を気遣う優しさを忘れない人だよ」


 だから私は、上に立つ人として米田さんを尊敬している。

 少しでも役に立ちたいと思うし、見習うべきところがたくさんある人だと思っている。

 
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