不本意な初夜でしたが、愛され懐妊妻になりました~エリート御曹司と育み婚~
 


「フロントスタッフとして目指すべき人物像だと思うし、私は米田さんに憧れてるから余計な仕事を増やすようなことなんて絶対にしない」


 毛布を握りしめていた手に力を込めて断言すれば、灯の氷のように冷たい目が私を射抜いた。

 一瞬、眼光の鋭さに怯みそうになったけれど、私は決して灯から目をそらさなかった。

 だって、私は間違ったことはひとつも言っていない。

 もう本当にたくさんだ。これから先も今のように、灯に振り回される日々が続くと思うとウンザリする。


「悪いけど、今日は疲れてるし先に寝かせてもらうね」


 お腹の奥から噴き出してくる怒りを精いっぱい押し込めた私はそう言うと、毛布をソファの上に置いて立ち上がった。

 そのまま私は灯の横を通り過ぎて自室に戻ろうとしたのだけれど──不意に冷たい手が私の手首を強く掴んだ。


「痛……っ!」

「……そうか。言われてみたら米田は、牡丹が随分昔に夢中だった〝森先輩〟に似てるよな」

「なに、言って……」

「結婚してからも仕事を続けたいって言ったのも、もしかして米田のそばにいることが目的だったとか?」


 蔑むような口調と視線に、今度こそ堪忍袋の緒が切れた。


「いい加減にして! ひどい侮辱よ! 今すぐ手を離して!」


 掴まれた手を必死に振りほどこうとしたけど、ビクともしない。


「嫌だね、絶対に離さない。これから牡丹は誰のものなのか、ハッキリと思い知らせてやるよ。行くぞ」

「ちょっと……っ!」


 強い力で腕を引かれて、抵抗虚しく私はそのまま灯の寝室に連れて行かれた。


「キャ……ッ」


 そして寝室につくなり広いベッドの上に押し倒され、いよいよこめかみに嫌な汗が伝った。

 
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