不本意な初夜でしたが、愛され懐妊妻になりました~エリート御曹司と育み婚~
 


「ああ、だけどそれは三十分もあれば片付くことだから……」

「うん、でも、私はその間に実家に行って両親に報告してくるよ。ほら、善は急げって言うでしょ? 多分、電話よりも直接会って話したほうがいいだろうし」


 そう言うと私は、膝の上で握りしめた手に力を込めた。

 これから生まれてくるこの子のためにも、灯のためにも、何より自分自身のためにも、両親とはきちんと話し合わないと。

 そうして私はその場で母に、【大切な話があるから、今から家に行ってもいい?】とメッセージを送った。

 するとすぐに、【お父さんと家で待ってる】という返事が返ってきたので、私達はカフェを出たあとすぐに灯の車に乗り込んだ。






「それじゃあ、灯はお仕事頑張ってね」


 フジロイヤルのある最寄り駅から実家までは、電車で四駅ほどの距離だ。

 車だったら二十分もあれば着く場所にあるのに、私は就職してから約五年間、ほとんど帰ったことがなかった。


「何かあれば、すぐに連絡しろよ」


 最後まで名残惜しそうにしていた灯は、私を実家の敷地前で下ろすと再び車に乗り込んだ。

 ここに来るまでの間に、覚悟を決めたつもりだったんだけどな……。

 それでもいざ実家に足を向けると緊張で背中に嫌な汗をかいてしまった。

 両親に会うのは約七ヶ月ぶりだ。最後に会ったのは結婚式のときで、両親は自分たちの理想の婿である灯に、ようやく娘が嫁ぐさまを眺めながら達成感に満ち溢れた顔をしていた。

 そりゃ、あれだけ『将来は灯くんの妻として恥ずかしくないように』って言ってたんだもんね。

 私がどんな気持ちでウエディングドレスを着てあの場に立っていたかなんて、両親はまるで気にも止めていなかっただろう。

 
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