不本意な初夜でしたが、愛され懐妊妻になりました~エリート御曹司と育み婚~
「まぁ、最悪、女の子でもいいだろう。今の時代、婿養子って選択肢もあるしな」
「あら、ダメよ。やっぱりいつの時代も跡取りは男の子って決まっているでしょ。うちだって子供は牡丹ひとりだったから跡継ぎはいないし……。まぁ、それでも灯くんが牡丹をもらってくれたから、我が家の将来は安泰だけれど」
ワイワイと盛り上がるふたりを他所に、私の心は重石を落とされたみたいに沈んで、雨雲が空を覆うようににどんよりと曇った。
正直に言えば、こうなることを考えていなかったわけではない。
両親は自分たちを助けてくれた藤嶋家に多大な恩を感じていたし、跡取りのことも含めて多少なりとも言及されるだろうとも思っていた。
でも……そっか、子供を産むことも灯の妻としての義務のひとつだったんだ。
そういえば、灯も私を抱くときに『俺と夫婦になったんだから、自分の役割くらいは、ちゃんとわかってるのかと思った』なんて言ってたっけ。
不本意な結婚から初夜を迎え、偶然か必然か、私のお腹には灯との間にできた尊い命が宿った。
妊娠してからというもの、それまでのことが嘘だったかのような灯の優しさを肌で感じる日々が続き、あのとき言われた言葉も都合よく忘れていた。
「灯くんも、さぞかし喜んだだろう!」
「そりゃそうでしょう⁉ 灯くんだって自分の跡を継ぐ子供ができたら安心だもの!」
そっか。灯が私の妊娠を喜んでくれたのには、そういう理由があったんだ。
灯も、私の父と母と同じように、将来自分の跡を継ぐ子ができて喜んでいたの?
今日まで私に優しくしてくれていたのも、大切な跡取りを私が宿しているからなのかもしれない。