今日もお兄ちゃんの一途な恋に溺れる。
「そうだな、でも早く親父の仕事を手伝えるようになりたいから」


「そっか」


彼女が元気がないような気がして心配になった。


「ごめん、1人で待たせて。寂しかったか?」


「ううん、そうじゃないけど」


彼女は恥ずかしそうに上目遣いをしてきた。


何か言いたそうにしている気がして近づいた。


「ん?」


彼女の頬に手を添えて上から覗きこむ。


「どうした?」


「なんでもない」


微妙に視線をそらせるから、ドキッとした。


こんなしぐさ一体、どこで覚えたんだろう。


すごく可愛いから今すぐ抱きしめてしまいたくなる。


「チー」


彼女をそっと覗きこんで両手を広げた。


おいでって合図。


「うん……」


千桜はうっすら頬を染めてゆっくりと俺の腕の中へ飛び込んできた。


爽やかな甘い香りが鼻腔をくすぐる。

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